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第36話 『“I got it.”』
“I got it.”  “I got it.”

 日本人の選手が高く上がったボールを追っています。
その背後では、アメリカ人の選手が何度も何度もこう叫んでいます。
その途端、あわや衝突!―――という「ひやっ」とする場面でした。

  日本語にすると 「まかせろ」などという感じでしょうか? 大リーグに渡ったばかりの日本人の選手に、この言葉の意味がわからなかったために起きた悲劇を、テレビのスポーツニューツでたまたま目にしました。

 女性のアナウンサーが、
「アメリカでプレーをするには、野球の実力だけでは、だめですね。」 と、辛口の批評をしていました。

でも、それほど、簡単な問題でしょうか?
  私は、高校の英語科教師ですから、少なくとも、他の方々(外交官や商社マンなど、日常的に英語を使われている方々を除いて)よりは、英語と接する時間は多いかと思います。でも、実際、この言葉を、言われて、瞬時にその意味を理解できるかと言うと、正直、あまり自信がありません。

  海外で長く生活をされたことのある方々でも、帰国後、よほどの努力をしなければ、外国語の運用能力、(特に聞き取り能力)は、簡単に衰えていくといわれています。外国語の聞き取り能力を養うこと、また、それをキープすることは、非常に難しいことなのです。  

  先日、宮里藍選手が記者会見の席上で、外国人記者の質問に対しても、動じることなく堂々と英語で答えている姿に、多くの日本人が驚かされ、翌日の新聞では、その話題が大きく紙面に取り上げられていました。

  中田英寿選手が、イタリアに渡った時、到着してすぐ、記者のインタビューに対して、イタリア語の冗談でかわしたことに、心底感心されられました。でも、今回は、世界デビューを果たしたばかりのわずか19歳の女の子が、やったのです。その驚きはなおさらでした。

  幼い頃から、宮里選手にゴルフを教えたお父さんは、彼女が、将来、世界で活躍する選手となることを見通して、移動の車の中で、ずっと英語のテープをかけ続けたのだそうです。お父さんの熱心さと、そのお父さんの言いつけに従った宮里選手の素直さに、感心させられました。

  自分の子供が宮里藍選手や、フィギュアスケートの安藤美姫選手のようになることを夢見て、小さな頃から、スポーツの英才教育を受けさせるお母さんが増えていると聞きます。

  宮里藍選手のお父さんのように、英語の教育にも力を入れて頂けると、日本人の英語能力は目覚しい進歩を遂げると思うのですがーーー(笑)。

  未来の自分のため、夢の実現のために、日本の若者たちが心躍らせながら、希望に燃えて英語学習に取り組むようになってくれたら、英語の勉強はつらくて苦痛を感じるだけのものではなくなると思います。そして、そうなったなら、私達、英語教師にとってはうれしい限りです。
 
<2005-04-25>
 
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