5月1日、ランサーズの高校生達は、両国国技館で開催された「日本ユニセフ創立50周年記念式典」に出場をさせて頂きました。皇太子妃雅子様が2月以来、久しぶりに公の場におでましになった、ということで話題になった、あのイベントです。
茅ヶ崎高校チアリーデイング部は7月23日、オーストラリア・アデレード市で開催される世界大会に出場をします。8月には、今年度の全日本チャンピオンを決める大きな大会、そして6月には、その大会への出場権を獲得するための予選大会があります。その間、学校では体育大会、そして中間試験と次々に行事があり、生徒も私も、とても忙しい日々をすごすことになります。どんなに意義のある大きなイベントであっても、茅ヶ崎―両国間、往復で約4時間。3分間の演技のためにリハーサルのある前日と当日2日間、それだけの時間をとられ、練習ができなくなることに、大きな不安はありました。
でも、いろいろなことを考えて、私は、出演させて頂くことを決めました。メンバー達には、チアリーデイング部の活動を通し、演技者としてだけではなく、女性として、人間として成長をしてほしいと思っているからです。
前日のリハーサルには、当日の出演者がほぼ全員集まっていました。でも、その大勢の出演者よりもはるかに多い数のスタッフが、忙しく準備や打ち合わせをされていました。様々なイベントで演技をさせて頂いているランサーズ。でも、メンバー達が顔を合わすことができるのは出演者担当のごく1部のスタッフの方々ばかりです。ひとつのイベントが多くの人の手によって作り上げられている、という事実をその目で見ることはなかなかできません。
2日間を通し、多くのスタッフと挨拶を交わしたメンバー達―――演技させて頂く時、自分達がどれほど多くの方々によって支えて頂いているか、ということを、今回は身をもって学ぶことができたと思います。
常日頃から、
「躍らせて頂いているという気持ちを忘れないよう。」と言ってきた私の言葉が、今回のイベントをとおし、やっと理解することができたのではないでしょうか?
演技が終わり、フィナーレの出番を待つ間、メンバー達は、支度部屋(国技館ですから力士の方の支度部屋が控え室です)に1度もどってきました。スタッフとちょっと打ち合わせをし、メンバー達より少し遅れてお部屋に入った私は、びっくり仰天をしてしまいました。入り口の所に、靴がきれいに並べてあったからです。高校教師として、修学旅行や合宿の引率をすることがよくありました。その時、何よりも恥ずかしくなるのが、大きなお部屋に集まった時の生徒達の靴の脱ぎ方でした。次の人が入りやすいようにと、きちんと靴を並べる子はほとんどいません。せめて自分のチームの子達だけでも、と合宿の時に指導をしたことがありました。でも、それが生徒の間で徹底されたのは、合宿も終わりに近づいた頃になってやっとでした。今の日本では、玄関先で靴をそろえるなどということは、ほとんどの家で習慣としてないのかもしれません。
また、「人のことを思いやる」という細やかな心遣いも、家庭において、あまり教育されなくなってしまったのかもしれません。
ですから、そのきれいに並べてある靴を見て、私はうれしくなってしまいました。
同室には、一緒に出演をしていた、多くの子供達がいました。日舞をおどった子供達、音羽ゆりかご会の子供達。みんな、それはきちんとしていて、控え室にいる時の顔さえももう立派な舞台人の顔でした。引率で付き添われていらした先生方はただそこに一緒にいらっしゃるだけで何もおっしゃいません。子供達は自分達の判断で行動し、その態度が実に立派なのです。普段から、どれほどきちんと指導をされているかがよくわかりました。
ランサーズの生徒がひとり、具合が悪くなりました。横になっている彼女のそばを、着替えをしていた小さな女の子が、小走りに走って通りました。その途端、そばにいらした、(とても美しい素敵な)先生が突然、表情を変えて
「何をやっているのですか?」
「ご気分が悪くて横になっておられるのよ。走ってよいか、よく考えなさい。そのようなことが大切なのですよ。」
同じような場面で、これだけのことが言える学校の先生、あるいは、母親がどれほどいるでしょうか?
「しつけ」というのは「身」を「美しく」と書きますが、本当の意味できちんとしつけられた美しい子供達、そして、彼女達のすばらしい指導者の方々に会うことができました。そのような方々と御一緒させていただいたことは、生徒達にとっても私にとっても貴重なよい経験となりました。 |